自動車税の還付金手続きを解説
車を新しく買い替える場合、今まで乗っていた車の廃車手続きが必要となることがあるでしょう。
この時に、すでに国に支払っている自動車税が還付されることがあります。
車の廃車手続きというのは、人生で何度も行うことではありません。
そのため、詳しい手続き方法や還付の制度など詳しく知らないという人の方が多いでしょう。
今回は、いざという時に役に立つ自動車税の還付制度と、その手続き方法を解説します。
自動車税についておさらい
自動車税は、車検などとは全く異なる、
『自動車を所有していることに対して課税される財産税』です。
主な用途としては、道路の整備費などに充てられています。
毎年4/1現在、自動車を所有している人に納税義務が発生し、車検証の名義人宛に納税書が送られます。
金額は、所有している車の総排気量・自家用車か営業用の車かによって異なってきます。
自家用車 |
金額 |
---|---|
軽自動車 |
10.800円 |
小型自動車 |
34.500円 |
中型自動車 |
45.000円 |
大型自動車 |
66.500円 |
*あくまで目安です。
総排気量のリッター数によって10の段階に分けられています。
自動車を所有するにあたっては、車検の際に支払う
「自動車重量税」
「自賠責保険」
の支払いも必須。
これらは2年に1回、車検の際に一緒に納める必要があり上記の自動車税と同じ様に、車体によって金額が異なってきます。
自動車税についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。
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廃車にするってどういうこと?
廃車とは、簡単に言うと「もうこの車には乗りません」という手続きを踏むこと。
廃車にも2つの種類があり、それぞれ
・永久抹消登録
・一時抹消登録
と呼びます。
永久抹消登録とは、車を解体業者に依頼して完全に解体した上で行う手続きのことです。
管轄の運輸支局にて手続きを行います。主に、災害や交通事故などで大破した車など、中古車として買い取ってもらえないような状態の車を廃車にする場合に行います。
一時抹消登録とは、長期間車を使わないという際に行う手続きです。
車は手元に残りますが、ナンバープレートは回収されてしまう為、公道を走行することはできません。海外出張などで数年間使わない場合や、趣味としてガレージに残しておきたいという場合などに行います。
廃車は、車を業者に売却することとは異なります。
中古車買い取り業者は、今現在の車の価値を判断し、価格を設定。
車の所有権を買い取り業者に譲る代わりに、代金を貰うのが売却です。
一方、今回のテーマである自動車税の還付を受けることができるのは廃車にする時の特権であり、売却の際は受けられないことが多いです。
本来であれば売却先から還付されることになるのですが、還付される税金分も含めて買い取り金額を提示してくることが多いので、「還付金」として別途支払いがあることは少ないでしょう。
廃車のタイミング次第で税金が返還される?
廃車の手続きを行うと、
「自動車税」
「自動車重量税」
「自賠責保険の保険料」
がそれぞれ還付されます。
まず、「自動車税」においては1年間分の額を毎年4/1以降に納税している形になります。
廃車にした翌月から、現在納めている分が月割りで計算されて還付されます。
例を挙げると、10月1日に廃車手続きを行った場合であれば、翌11月〜3月までの5か月分の金額が還付対象となるのです。
ただしこれには例外があり、自動車税の還付が受けられるのは軽自動車よりも大きな車に限られます。
軽自動車は自動車税の還付はありません。
次に「自動車重量税」は、車検と同時に2年間分の金額を納付していることになります。
廃車をした日から、車検の満期までが1ヶ月以上残っているという場合、還付の対象となります。
税金ではありませんが同じく「自賠責保険」も、契約の満期まで1ヶ月以上残っている場合は払い戻しを依頼することができます。
車検と同時に契約をすることが一般的なので、2年契約の方が多いですが、自賠責は36か月(3年)契約をすることもできるため、証券をしっかりと確認しましょう。
この時に注意したいのが、「廃車の手続き日」ではなく「自賠責保険の解約申請をした日」からの日割り計算で還付金額が決定するという点。
廃車手続きが終わったからといって安心するのではなく、早めに保険の解約手続きは行いましょう。
つまり、車が動かない状態・廃車にしなければならない状況になってから長期間手元に車を置いておくのではなく、廃車手続きを行うのが早ければ早いほど、還付される金額は大きくなるのです。
ガレージにいつまでも置いたままになっている車がある場合には、早急に手続きを行わなければまた4月1日を迎えることで課税の対象となってしまいます。
廃車から還付手続きまでの流れ
永久抹消登録を希望する場合、廃車自体はディーラーや解体業者・自動車修理工場などに、自分で依頼をかける必要があります。
廃車が完了すると『使用済自動車引取証明書』という書類と、前後2枚のナンバープレートをもらうことができます。この書類は形式に特に指定はなく、「移動報告番号」と「解体報告記録の日にち」が書かれていればOKです。これを持って手続きをしに行きましょう。
一方で、一時抹消登録の場合は、車を解体する必要はありません。ナンバープレートのみ取り外す必要があります。
法律的には、自分でナンバープレートを外すことは禁止されています。しかし、運輸支局の中には自分で外すことを促す方もいます。正しい方法を踏むのであれば、業者に車を持ちこみ、ナンバーを外してもらい仮のナンバーを装着して自宅まで帰る必要があります。
しかし、今は暗黙の了解で自分で外す人が多いでしょう。心配な場合は、実際に行く予定の運輸支局に連絡をして指示を仰ぐようにしましょう。
簡単な工具を使えば、自分で取り外すこともできますが、解体業者やディーラー・修理工場などの業者が専門に行っています。
一時抹消登録の場合には、ナンバープレートを持っていくことを忘れないようにしましょう。
上記に加えて、
・印鑑証明書
・印鑑
・車検証
を持って廃車手続きを行いたい車が登録してある地域を管轄している運輸支局にて手続きをおこないます。
運輸支局の場所や、業務受付時間などは、国土交通省のホームページにて確認することができます。
運輸支局にて、廃車手続きを希望している旨を伝えれば、必要な書類が手渡されますので記入・提出しましょう。
手続きが無事に完了すると、廃車手続きを行った証明となる「抹消登録証明書」とこのあとの還付手続きに必要となる「自動車税・自動車取得税申告書」を受け取ることができます。
そして、この抹消登録証明書を持ってその足で向かうのが「税事務所」となります。運輸支局内に税金に関する申告窓口が設けられていることが多いので、確認してみましょう。
先ほどもらった自動車税・自動車取得税申告書を提出することで、還付の手続きを行うことができます。
一方で、重量税に関しては一時抹消登録では還付の対象とはなりません。
永久抹消登録を行った場合で、かつ解体を「自動車リサイクル法」に乗っ取り適正な解体を行った場合にのみ還付の対象となります。
こちらも、廃車手続きを受ける時と同じく管轄の運輸支局で行います。ただし、解体業者が運輸支局に解体した旨を届け出てからの受付となり、届け出から15日以内に還付手続きを行うことが原則とされています。
自賠責保険に関しては、各保険会社に連絡をして手続きを踏む必要があります。多くの場合が、自宅宛に手続き書類が送付され、必要事項を記入・必要書類を添付した上で返送することで解約手続きが始まります。
自賠責保険の証券や約款にかかれた番号に、連絡を取ってみましょう。
廃車・還付を受ける際の注意点
自動車税をはじめ、住民税や市民税・事業税などは国税の中でも「地方税」に分類されます。この地方税に、なにかしら未納のものがある場合は還付を受けることはできません。
未納の分と相殺されてしまいますので、還付手続きを行ったとしてもお金が戻ってくることはないのです。
また自動車税そのものが未納となっていた場合は、廃車手続きを行ったあとであっても、納税義務は残ります。そのため、利息分と共に徴収が行われるでしょう。
未納の期間が2年以上経っている場合は、廃車手続きそのものができないこともあります。業者に委託して解体したあとの手続きが行えなくなってしまうため、税務署などに相談して納付の計画を立てる必要があります。
新しく車を買い替える時というのは、まとまったお金が必要となりますよね。
そんな時に、少しでも収めた税金が還付されると嬉しいもの。
これから車を廃車にする予定のある方は、この記事の情報をぜひ参考にしてください。
また、今はまだ乗り続けるという人も、将来の廃車にすることがあった時は、還付金がでることを思い出して手続きを踏んでくださいね。